資格と優遇

今のところ、この仕事に就くための資格は特にない。しかし新たに人材を募集する際には、介護福祉士の資格を持っている人を優遇する施設が増えている。逆に介護福祉士の試 l 験に挑戦する人は、その大半がだ。福祉の最前線。現場を知りつくしているだけに、より専門性を深めたいと考えるのだろう。夜でも仕事をする。多くの施設では 3 l ムを例にとると、入所者 人に対し 1人(規模や地域によって若干のパラつきはある)かそれ以上の配属が義務づけ られており、職員総数の半数以上を占めている。鈎年現在、寮母全体の実に 、 人の寮母が老人福祉施設で働いている。  やすいゆきこ  1972年東京都生れ.短大事察後、ケアワーカーとして「さくら苑に就厳し.現在 安井さんは、高校のときに進路を決定するにあたり、母親と相談して介護職への道を選んだ。「これからは高齢化社会だから」と一応時代の動きを読んだものの、家には祖母がいて老人に親しんでいたことと、「おじいさん」という存在への憧れが大きかったことも あり、ほとんど迷う乙となく決めてしまったという。介護福祉コ スのある短大に進み、卒業と同時に介護福祉士の資格を取得、以来ずっと「さくら苑」で働いている。現在はチ フとなり、主にデスクワ 1クと後輩指導の毎日だが、人と接する仕事が好きだという気持ちに変わりはない。 「仕事を始めた最初の 1年はただがむしゃらでした。先輩も黙ってそれを見ていたんです。

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生きていることを実感していきたい

しかし本人の意思や努力とは無関係の 何らかの理由で、健康を損ねたり、経済的に困窮することもある。それによって一般社会から排除されてしまう人だって少なくないのである。これらの人は「社会的弱者」といわれてきた。身体障害者、精神障害者、知的障害者、高齢者、孤児、母子家庭、貧困家庭:・ 今までの福祉は、それら救いの必要な人に上から援助を「与える」という関係だった。 しかし実際の福祉の現場では、助ける人も助けられる人に助けてもらうという、人間同 士がごく自然に関わり合う場面がよく見られる。「ノマライゼ ション」という言葉は、 このような実践の中から生まれたものである。これは社会にはさまざまな人が混じり、お 互いに補い合いながら共に暮らすほうが自然だという 考え方H であり、その自然な姿を 実現しようという 運動H でもある。 横浜市にある特別養護老人ホ  l峰会「さくら苑」では、開設当初からこの考え方 をもち、実践・実行してきた。たとえば日本で初めて CAPP(コンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム)を導入し、動物と触れ合う機会を設けたり、おもちゃ美術館を併設して子供とお年寄りがいっしょに遊べるようにしたり、文化人や大学、企業など外部とも手を組んで、高齢者のためのファッションショーや和太鼓ライブなどさま ざまなイベントを開催するなど、生きていることを実感できるような刺激ある介護福祉活動を模索し続けている。

出典:介護職員初任者研修 最安

死の学習

中でもユニークなのは「デス・エデュケ ション(死の学習こだろう。これは死を人生の一部として前向きに見つめることによって生きる意味や喜びを考え直そうというもので、仲間の死を隠さず、共に弔い、ざっくばらんに死を語り合うのである。施設の仲間だけではなく、家族や地域の人たち、子供たちまで巻き込み、死を前提とした生命、人間の尊厳、支え合うことの意味などを共に考えていく。創設者で理事長の桜井里二氏はこう語字。。  「死を忌み嫌い、隠そう、避けようとすることは、そこに向かって生きている今の自分 をごまかすことになります。死をオープンにすることで、今日という日を精一杯生きる勇 気がわいてくるんです」。  福祉施設は今後、理事長や施設長など、トップの考え方に賛同する人、賛同できない人の離合集散が活発になり、それぞれが個性を強めていくものと考えられているが、ここではその一例として、「さくら苑」とその関連施設で働く人たちを通し、福祉の現場のよう l すや仕事への思いなどを聞いてみることにしよう。 事医師は甥託の渇合もある  お年寄りに必要がある限り、ケアワーカ交替制をとり、部屋ごとに担当者を決めている。特別養護老人ホl 、実際にお年寄りの世話にあたる人のことである。施設介護では「寮母」(男性は「寮父」と呼ぷ施設もある)とか「介護員」などといい、在宅介護でケアワークを担当する「ホ ムヘルパ 」とは、便宜上区別することが多いようだ。

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指導の中で

でも 1年たったころから手とり足とり指導してくれた。『なぜこの方がいいと思う?』 『どうしてこうなると思う?」って、夕食を食べながらプリントで勉強したり、仕事が終 わった後にお年寄りに協力してもらって訓練したり。『ああだからこうしろ」と頭ごなし に教えるんじゃなく、自分で考えて納得できるように指導してくれたんです。いい先輩に  恵まれたんですね。本当に勉強になりました」。おかげでお年寄りとの距離をうまくとれるようになった。今はむしろチ フとして、どうしたら他部署の人たちとスムーズに連携できるのか、実際に介護にあたる人たちが気持 ちよく働くにはどうしたらいいかなど、職場の人間関係に気をつかっている。 「中学を卒業するとき、先生に言われたんです。『まず人を好きになってみること』って。友だちにさえなれば、その人の怒りや悩み、わけのわからない行動や言葉にも、意味を見出だせるようになる。職場の人でもお年寄りでも、人間は人問。どういうところにこだわりを持っている人かわかれば、つきあい方を考えることができます。暴力をふるってしまうおじいさんでも、実は戦争のときに受けた体験がペ スになっているとわかれば愛しく 思える。表面だけではわかりません」。 どんな人でも受け入れてみるという寛容さは、何があっても悪くは考えないという「超プラス思考」につながると言って、安井さんは笑う。ケアワ カ にとって、入所者は家族同然。

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人生を学ぶ

特に担当する人の部屋には休憩時間に色足が向いてしまうし、亡くなりそうなときには苑に泊まり込むという。 「お年寄りからは人生が学べます。婚約者を戦争で失い、以後ずっと独身で通したおばあさんの話とか:::たわいない会話の中にもその人の生きかたや人生が見えて、心動かされます」。だが介護職には今、心だけでなく専門性を高めるための意識改革も求められている。 「さくら苑の理事長は情報が早く、意識改革の必要性はずいぶん前から言っていました。施設の利用者には『措置を施す」のではなく、「サービスをさせていただく』こと、利用者はお客様であり、ホテルマンなみの接客意識を持つこと。服装にも気をつかってますよ。     さくら苑には制服がなく、「・自由に自分を表現しろ』と言われます。ただしお客様にさやわかな印象を与えるために、ジャ ジ姿は禁止、汚れた靴もダメ。ピアスやマニキュアはですが、お年寄りに不快感を与えてはプロとして失格です。もちろん技術と心がとも なわなければ意味がありませんが」。福祉施設でなくても、お店でもコンビニでも、人と接する仕事はたくさんある、と安井さんは言う。自分自身の家族を持ち、人と接し続けることが安井さんの夢である。「世の中にはほんとうにいろいろな人がいます。隣の人のことを他人と思わず関わっていきたい。人と関わるということは、自分自身をしっかり持っていなければできないこと ですが、同時に自分を支えてくれるんです」

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